ケトンの母が連れて行かれたのは、橋の下をくぐって中に入る洞窟のような掘っ立て小屋。そこにひげ面の四人の男どもが住んでいる。どう見ても山賊か物取りのたぐいの連中にしか見えない。
小屋で横たわったまま目を閉じているケトンの母。死んではいなかった。まだ息はある。しばらくしてケトンの母の意識が回復し起きあがると、そばにいた熊のようにずんぐりした一人の男が満面の笑みを浮かべるが、何やら気色悪い雰囲気が漂う。
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「煎じ薬を作るんだ!」と他の三人の男に命じる。どうやら首領格の男らしい。名はハサムという。
その男がケトンの母に言う。「これしか方法はなかった、オレはお前をよく知っている」
その言葉の意味が飲み込めずにキョトンとした表情を浮かべるケトンの母。
男は、もう少しで富も手に入る、と言いつつケトンの母の手を握ろうとすると、その手を払うやいなやピシャッと平手打ちを食らわす。「二度とさわらないで!!今度は首にかみつくわよ!!」」
その毅然とした態度に気圧されてしまう男。
さて、急きょ皇太子になったクァンヘと王ソンジョのソリが合わないことは前回触れた。そして、先の壬辰倭乱で功労者となった側近イ・ウォニクが王様に忠告をする。要は、その戦いで功績を果たして民も慕っている故、もっとクァンヘ皇太子を大切にし、王様のおそばに置いて地位が盤石なものであることを示してくれないか、という意見具申をする。
それを聞いた王様は反発する。「じゃ、譲位はどうだ」という言葉を投げかけると、それを聞いた側近は恐れおののく。
それというのも、その当時、譲位とは朝廷内を二分するということを意味するからだ。王様に従えば、譲位を受ける皇太子から恨まれる。さりとて皇太子に従えば今度は王様から何をされるか分からない。どっちについても争いは起こってしまうのだ。この場面で、側近は血相を変えて「どうか、私を殺してください!!」と頭を下げるが、王は、「黙れ 左議政」と怒る。
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この譲位という言葉をめぐって、王様にお詫びしたいという皇太子に対して、「本気で言ったわけではないのに、そこまでするとは。さては王位継承を早める気か!」と激怒する王様。ますます二人の関係はこじれていく。
ところで、母がいなくなってから、いてもたってもいられないケトン。兄のように慕っている三歳年上のウォンピョを誘い、二人で母を探しに行く。和尚の目を盗んで寺を抜け出したものの、立ち寄った市場で食べ物を盗んで男たちに捕まったところを和尚に助けられ、また寺に戻るはめになった。
ケトンは母に会いたくてたまらない。和尚の前で全部覚えたハズの千字文を歌おうとするが、歌の最初の出だしをいくつか諳んじても後が続かない。そして「お母さんに会いたいです!」といって泣きじゃくる。母がよく自分に言っていた言葉を思い出すケトン。「私の恨みも晴らしておくれ。父さんの分もね。だから立派な人になるんだよ」
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ところで、ケトンの母はかつて和尚に、自分が追われているワケを打ち明けていた。彼女は、代々の下働きの家柄で、その下働きとして夫と一緒にファン進士の元で働いていた。ところが、ファン進士が彼女に下心を持ったため、夫をひどい棒打ちで死に追いやったとのこと。夫は死ぬ間際に彼女にこう言った。「ここから逃げろ。子供だけは下働きにするな!!」だから、子供をそういう境遇にしないことが彼女の願いだという。
その母も今は囚われの身。彼女は、スキを見て小屋から逃げだそうとするが、例の三人の子分に見つかって連れ戻されてしまう。
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