【宮廷女官キム尚宮】第一話「2人の娘の誕生」

宮廷女官キム尚宮

1583年(宣祖ソンジョ15年)のことだ。フラッシュのように光る稲妻と大雨。大きな包み紙を破るような雷鳴がとどろく林の中を一人の女が逃げまどっている。

女を追いかける3人の男。白い手拭いで顔を隠している。盗賊か、それとも何かの追っ手か。女は身ごもっているせいか、お腹が大きい。大雨の中、やっとこ一軒の小屋にたどり着く。

そこには竹の棒を持った一人の初老と覚しき男が座っていた。和尚だと言う。

女はその男に「助けてください。追われています」と懇願した。

そのうちに 3人の追ってが小屋の前にやって来た。和尚は小屋から出て彼らを一喝する。「何をしている!

この和尚、ただ者ではない。アッと言う間にカンフーのワザで 3人を倒してしまった。

男たちは逃げていく。そのとき、小屋からは女の悲鳴が聞こえてきた。産気づいたらしい。ちょうど、その頃、大きな屋敷でも一人の女の子が生を受けていた。この同時刻の二つの出産。

屋敷の主は大喜び。「喜ばしいことだ。本家と分家に伝えてくれ
粗末な小屋と立派な屋敷で同日同時刻に生まれた女が二人。

一方は、娘の誕生を待ちわびていたキム・ジェナムの娘、のちの王ソンジョの王妃となるインモク大妃。もう一方は、キム尚宮となり、クァンヘ君の寵愛を受けて強い権力を握って朝廷を動かすことになる一人の女。

和尚から、彼女の名はケトンと名付けられた。彼はケトンの母に言う。この子は 35歳まで生きられないため、名前負けしないように荒々しく育てて力仕事もさせなさい。そうすれば運命が変わるかもしれない。

さて、1592年(宣祖25年)に戦乱が起こった。世に言う壬辰倭乱。これが、有名な秀吉の朝鮮出兵か。乱が起きる前、朝廷では意見が分かれていた。しかし、民衆を刺激させないために倭国の侵略を否定した。

それにより無防備だった朝廷は不意打ちされ、都の外に逃れることになったという。その翌年、戦火により昌徳宮も景福宮も焼け落ちて都に戻った朝廷は月山大君殿を行宮とした。

また、この戦いでときの王、ソンジョ(宣祖)は、世継ぎとなるはずだったシンソン君を亡くしてしまった。そのことを悔やんでも悔やみきれない。この王は、子の産めない正室よりもシンソンを生んだ側室インビンだけを寵愛していた。

急きょ、側室コンビンの次男クァンヘを皇太子にしたものの王様は気に入らない。クァンヘが
皇太子になったのは、壬辰倭乱が起因している。万が一の事態に備えて朝廷を2つに分けたためその一方を率いる皇太子が必要だったとのこと。

さて、和尚に助けられたケトンの母は、それが縁で和尚の世話になって暮らしていた。和尚、和尚の息子ウォンピョ(ケトンより3歳年上)、ケトンの母カン氏、ケトンの四人。ケトンはすでに10歳になっていた。

和尚は息子には勉強を教えるが、ケトンには教えない。彼女は和尚にその不満をぶつける。でも勉強家のケトンは独学ですでに千字文(せんじもん)は覚えたという。

ケトンは言う。「どうして私に勉強を教えてくれないの、勉強しないと獣のようになってしまいます」和尚は、獣になってこそ運命を変えられる、としか言わない。

そんな中、ケトンの母カン氏の身に大変な事態が発生する。暗闇にうごめく謎の3人の男。
寺の中の一部屋。そこにケトンと母親が寝込んでいる。息をひそめて 3人の男が押し入って母親の頭から袋をかぶせて連れて行ってしまった。電光石火の早業だ。ケトンは叫び声を上げて、その声を聞いて飛び起きたウォンピョから和尚にもその事態が伝わるがときすでに遅し。「お母さんー」と泣き叫ぶしかないケトン。

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